氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「……氷河くん」
「おい」
「氷河くん」

 削れてしまえ。

 でも。

「おっぱいが。……イタイ」
「わり」

 ――形勢逆転

 今度は、わたしが乗っかってやる番だ。

「重い?」
「全然。普段持ち上げてるバーベルの半分もねえだろうからな」

 何キロの重り使って鍛えてんの?

「テスト終わったら。あそぼうよ」
「夏休みか」
「うん」

 きっと当麻氷河とのデートは普通とは違う。

 当日の朝、何キロも走ってからやってくるから既にくたびれているかもしれないし。

 どんな話をふっても、そっけない相づちしか返って来ないかもしれない。

 そのくせアイスホッケーに繋がる話には食いつくんだろうな。

「今から結構予定入れてる?」
「そうだな。練習と、バイトと」

 会えるのはそういう予定の合間ってことになるよね。

「合宿もあるな」

 なんだか声がとても眠そうだ。

「合宿って、どこでやるの?」
「ナリさんの別荘」
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