氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 庶民って言いやがった。

「ちゃんと気をつけて片付ける」
「ここが使えなくても、もっと綺麗で広々とした教室でプロジェクター使ってのビデオミーティングができるし。適当でいいよー」

 そんな部屋を借りる権限がアイスホッケー部にはあるというのか。

 いや、成澤の特権なのかもしれないが。

 なんのための部室なんだ……?

「ところで氷河は、知ってるの? こんなとこで君がシンデレラみたいなことしてるの」

 誰が灰かぶり姫だ。

 姉にいじめられて掃除するわけじゃないからな。

「言ってない」
「ふーん」
「知ってるでしょ。学校では、わたしがアイツに必要以上に近づいてないこと」

 だからって、頻繁にメッセージの交換したり電話してるわけでもない。

 当麻氷河の練習時間と睡眠時間を奪うようなことはしたくない。

「そういえば君たちはロミオとジュリエットだったね」
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