氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「じゃあ。……ずっとここにいて」
「いるいる~」
「どっちにしろ帰らないんじゃん!!」
「いやー、ツンケンした子がたまにデレてくれるといいものだね。キュンときた」
「デレてない!」
「そうそう。君、世間で【千年にひとりの美少女】って言われてるんだってね?」

 インターネット上でわたしの写真を見た、顔も知らない誰かの書き込みのことだ。

「あんなの。適当に誰かが呼んでるだけだから」

 なんの根拠もない。

「氷河はラッキーボーイだな」

 距離をつめられ、壁際に追い込まれ――

「そんな君を好き放題できるんだから」

 成澤の顔が近づいてくる。

「首絞めますよ」
「両手を俺に掴まれてるのに?」
「……っ、離せ」
「絞められるよりは、絞めたいかな」
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