氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
藍さんが初対面のとき、そんなこと言ってた。
けれど、どうしても信じられない。
触れ合うのは心から好きな人とがいい。
当麻氷河と触れ合って、そう心から思った。
「寝てるよ」
「……誰とでも?」
「心外だな。相手は選ぶし、俺からは誘わない」
「え?」
「誘導することはあるけど」
あくまで自分からは手を出してないって言いたいらしい。
「ついでに俺のちょっと歪んだ性癖について、聞いてくれる?」
「聞かない」
「まあ。聞いてよ」
この手を振り払えない限りは逃げだすって選択肢はない。
「大切に食べようと置いておいた冷蔵庫のプリンを横取りするのが気持ちいいってことに気づいた。子供の頃に」
「ちょっとどころじゃないよそれ」
「奪うって行為に興奮を覚えるんだろうね」