氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

「纐纈さん天才だな」

　破滅的というわりにすぐにプリントを解いてしまった、ポーカーフェイス。

「こんなの基本だから。授業聞いてたら解けるレベルの」

　わたしの教え方より先生の方がわかりやすいだろうし。

「聞いてない」
「え？」
「古文は。常に睡魔との戦いで」
「寝てるの？」
「半分意識は夢の中に」
「……授業中に寝てるイメージないけど」
「寝てはない。今にも寝そうにはなってる」

　なんなの。
　なんでそんなに眠いの？

「今度のテスト。ヤバいかんじ？」

　そう聞かれ、遠い目をする当麻氷河。

　なに。
　別にヘンなこと聞いてないよね、わたし。

「全教科平均点とれないと…………死ぬ」

　そんなことで死んでどうする。
　わたし、毎回死ぬことになるじゃん。