氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「……バカにしてる?」
「そんなつもりないけど。君にとっての悪は必ずしも悪ではないってことは頭に入れておいてよ」
「本気の恋をしないのが、成澤の正義?」

 じっと見つめてくる。

「……なによ」
「暇潰しさ」

 この男の暇潰し相手に選ばれた女の子は幸せになれたのかな。

「ゲームくらいに思ってなきゃ。苦しい」

 ……クルシイ?

「はあ。やっぱり今すぐ仮眠とりたいなー。エリナちゃんの膝枕で」
「ひゃっ」

 急に抱き寄せられ、スカートの上から脚を撫でられる。

「もうちょい肉付きいい方が好き」
「あんたの好みなんて……」

 そういや、アイツも言ってたっけ。

 軽すぎ――って。

「膝枕って。どうして膝枕って言うんだろうね。頭のせるのどう考えても太ももなのに」
「知るか」
「どこまで赦したの?」
「……っ、離れろ!」

 成澤の手をはらいのけようとして、かわされる。
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