氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 それに、みんな、自分の進むべき道をよくわかってる。

 わたしは、数年先の自分をイメージできないでいるのに。

「なんでもできる人間なんていない」
「……え?」
「得手不得手を感じさせない器用さがある人間はいるが。ナリさんのように。それでも見えないとこで努力してたりするもんだろ」

 当麻氷河が成澤を慕う理由って、なんだろう。

 プレイボーイと堅物。

 まるきりタイプの違う2人を結ぶもの、アイスホッケー以外になにかあるのかな。

 廃部寸前のこの高校のアイスホッケー部でアイスホッケー続けることを選んだのだって疑問だ。

 成澤も当麻氷河も、もっと上を目指せるはずなのに。

「あ、あの……!」
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