氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 部室に戻ろうとしたとき、誰かに呼び止められた。

「その……アイスホッケーって。どんなスポーツっすか」

 振り返ると小柄な少年がいた。

 いや、当麻氷河や成澤がデカいからそう感じるだけで、至って標準か少し低いだけかもしれないが。

 たしか野田もこのくらいだな。

 もしや、さっきの話、聞かれて――興味津々って感じ?

 だったら勧誘してみるのもありだな。

 新入部員獲得こそマネージャーの仕事。

 それができたらわたしの存在価値も上がる。

「自分。ラグビー部なんですけど」

 ――ダメじゃん

 帰宅部の子じゃなかった。

「初心者でもついていけるんすか」

 ん?

「未経験者を歓迎してくれますか」

 既に入ってるなら、どうしてそんなこと聞いてくるんだろう。

「ラグビー部は経験者、多くて。初心者の自分には……正直。ハードル高くて」
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