氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 おばあちゃんっ子、なのかな。

 だとしたらちょっと親近感。

 わたしもおばあちゃんにはお世話になりっぱなしだから。

「経験は」
「ないっす」

 ところで当麻氷河って、男子とはこんなに話すんだ。

 初対面なのに。

「自分、昔からインドアで。家の中で遊んでばかりいました」

 なら、ラグビー部辞めたところで、うちに勧誘するのも微妙か。

「あ、でも。体操だけは得意で。……といっても体育の授業でやるレベルのものっすけど」

 だったら体操する部活に入ればいいんじゃない?

「二重とび。何回跳べる」

 縄跳び最後にしたのいつだっけ。

 二重とび今できる気がしないなあ――

「うろ覚えっすけど。100回くらいなら普通に」

 は!?

「今夜空けとけ」

 ――――!!

「え……今夜すか?」
「なんか予定あるのか」

 なに考えてるの?

「い、いえ! 大丈夫っす!」

 今夜は――……

「体験入部させてやる」

 氷上練習の日だよ。
< 279 / 617 >

この作品をシェア

pagetop