氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 きっと、当麻氷河は、中途半端な気持ちでアイスホッケーを始めてもらいたくないんだ。

「真柴くん」
「ハイ!」

 ラグビー部に、ついていけなかったというよりは――

「頑張ってね」

 うまく馴染めなかったんじゃない?

 君が居場所を見失ったというなら、

「最初は難しいかもしれないけど、きっと自由に氷の上を舞えるようになったら……すごく気持ちがいいだろうから」

 ここが居場所になると、いいなと思う。

「……っ、うす」
「真柴くん?」

 なんだか、たどたどしいぞ。

「ぞうきん何枚かもらってきます!」
「あー、うん。よろしく。っていうか敬語じゃなくていいのに」
「や……だって、纐纈さんが。こんな間近にいるだけでも奇跡なのに」

 は?

「いってきます!」
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