氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 すごい勢いで部室から出ていった。

 廊下は走るべからず。

「真柴くん……て。高校生に見えないよね」

 色んな意味で。

 THE純情って感じ。

「バランス感覚」
「へ?」
「若しくは柔軟性。あるいはその両方をアイツが持っていたら。それは武器になる」

 氷の上は、足場が悪い。

 すごい速さで移動できるのは、それに耐えられる者だけ。

「どんなに凄いシュート打てても。どれだけハンドリングスキルあっても」

 ハンドリング――スティックでパックを運ぶ動作のことだ。

 サッカーやバスケでいうところのドリブル。

「スケートできなきゃ話にならない」
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