氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「マネージャーの天津(あまつ)さん。アマツのアマは、天井の天。だから天ちゃん。あたしがつけたんだけど、かわいくない?」

 クロスアイスのときにいた子か。

 すごく大人しい感じで、話さなかったけど。

 ショートカットで赤いフチのメガネをかけていて、バイキングでは細身の割によく食べていたのが印象的だ。

「今日は来てないんですか?」
「今の時間、塾なんだよね。終わったら来るから氷上練習からは参加するよ」

 そういうのもアリなんだな。

 いや、アリなのか……?

「初心者なのに……あのフジオさんに認められたってことですよね」
「その言いぐさ。なんかあった?」

 すみません。

 わたし、この部の規律を破ってます。

 当麻氷河と恋愛してます。

 それでも入部したいのは、やっぱりワガママ……ですよね。

「わたしがマネージャーとして必要って証明しなきゃいけないんです」

 なにがなんでも。

「それならとっくにできてると思うけど?」

 ……え?

「そうだ。あたしが一筆かいてあげるよ。エリちゃんはアイスホッケー部に欠かせませんって」
「ほんとですか!?」
「でも、その前に。藤くんを敵にまわした経緯、話してもらおうかなー?」
「……っ」
「いや、逆か」
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