氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 藍さんの千里眼、おそろしや。

「見てみたいわー。氷河が女の子にデレるとこ」

 成澤や藍さんはわたしの知らない当麻氷河のこと、色々と知っていて。

 そう考えると妬けてしまうけど、

 わたししか知らないアイツをわたしは知っている。

 ……それはとても贅沢なこと、なのかもしれない。

「ラスト一周~!」

 ランニングしている選手のみんなに、藍さんが声かけする。

 真柴くんもなんとか走りきれそうだ。

「あたしに逆毛立ててた氷河も高校生になったのかーって思ってたけど。こんな可愛い彼女まで作っちゃうなんて」
「すみません」
「どうして謝るの?」
「だって。部内恋愛……」
「したらいいじゃん」
「え?」
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