氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「アイちゃんお察しのとおり。アイスホッケー部に【部内恋愛禁止】なんて規律はないよ。俺が氷河にジョークで伝えてたんだけど、真に受けちゃったんだよね」

 完全に騙す気で言ったろ。

 はやく誤解を解け!

 アイツもアイツだ。

 成澤の虚言に騙されるなよ。

 フジオもなに適当に乗っかってるんだよ。

 ……待てよ。

 それじゃあ、もうコソコソしなくていいんだ。

「ジョークじゃなくてホントにしてもいいんだけど」
「あのねえ。あんたに、そこまでの権限……」

 あるのか御曹司!?

「ナリはこの部の創設者の孫だからね。多少の改訂はできるといえばできるか」

 え?

「そうだ。マネージャーはみんな俺の嫁って追加しておくか」

 どこの一夫多妻だよ。

「あのホッケー狂いが棄てられないほど愛しい女の子なんだね。エリちゃんは」
「えっ……」

 そうなのかな。

 わたし、藍さんから見ても、当麻氷河に可愛がられてる?

「そんなことより。はやくチュウしてよー」
「さっさと着替えてこい!」

 藍さんが、成澤を連れていく。

「えーん。アイちゃん。俺だってエリナちゃんに甘えたいんだよー」
「エリちゃんに手を出したらマジで赦さないから」
「仕方ない。アイちゃんにしておくか」
「殴るよ」

 仲、やっぱり悪いのかな……?

「はあ。みんな、すごいっす」
< 297 / 617 >

この作品をシェア

pagetop