氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 最後にやってきたのは、真柴くんだった。

「ラグビー部の部員も凄かったっすけど。負けてないというか。成澤先輩と当麻くん、どうなってるんすかね」

 そう言われて成澤を見ると、ヘラヘラしながらアイさんと喧嘩している。

 いや、楽しんでいる。

 当麻氷河の方は、誰よりもはやくリンクへ移動した。

「スタミナありすぎっす」
「成澤のことは、わたしにはわからないけど。当麻氷河は毎日走ってるよ」
「それでですか」

 電車では、ほんの数分の距離も

 歩くと長い道のりなんだよね。

 坂もあれば足場も悪かっただろう。

 なのにアイツはわたしを送ってくれたあと、走って帰った。

 帰ってからもトレーニングしたんじゃないかな。

「素人が、こんなの言うのもなんですけど。あの2人どうしてこの高校のアイスホッケー部にいるんすかね」
「……え?」
「部員も多くなければ、初心者歓迎。そんなレベルにはとても見えないっす」
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