氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 セクハラ大魔王とは思えない神妙な顔つきで真柴くんに問いかける、成澤。

 とりあえず好きなことやってみればいいじゃんって雰囲気ではない。

 あとあと真柴くんが困らないために確認してあげているのだろうと思う。

「やります!」

 ――――!!

「極めたいっす」

 真柴くんに、迷いはなかった。

 彼がこの数日どれだけ悩んできたかわからない。

「いいんじゃない?」
「えっ……」
「1人しかいないポジションだし、やってくれるなら俺らも大歓迎。だよね、氷河?」

 成澤が頬を緩め、当麻氷河を見る。

 するとアイツが顔をあげた。

「そうですね。ビシバシ鍛えてやりましょう」

 真顔でそういうこと言うと怖いからやめろ。

「よ、よろしくお願いします……!」

 真柴くんビビッてるじゃん。

 せっかく成澤が笑って場の雰囲気がいい感じに和んだのに……。

 ん?
< 317 / 617 >

この作品をシェア

pagetop