氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 成澤は日頃から軽い口調で話してるが、そうすることで空気はピリピリしないし、自然と新入部員と先輩の壁は薄くなってる。

 それも成澤なりの気遣い……とか?

 ただのチャラ男ではないのかも。

 もちろんいきすぎたセクハラは許しがたいが。

 ……わざと、なのかな。

 緊張感を与えなきゃならない場面では、さっきみたいなマジモードになれるんだもんな。

 あの当麻氷河に面倒見がいいと言わせている事実もある。

 侮れない、この男。

「なになに。エリナちゃん。俺に熱い視線送って」
「は?」
「そろそろ抱かれたくなった?」
「ちがうわ」

 ならば、これもムードメーカーとしての演出なのか。

「俺はいつでも準備オーケーなのになあ。私服の破壊力ヤバイよね。なにその清楚コーデ。逆に俺を誘ってるとしか思えない」

 いや、ただセクハラしたいだけか?

「見えないものほど覗きたくなる男心わかってるよ君」

 ほんと読めないひと。
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