氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 未知ってことは。

 片想い含め、恋愛したことないって意味なんじゃないの?

「嘘はついてないよ」
「本当ですか?」
「アイツには愛してやまないものがある」
「……愛してやまない、モノ?」

 女の子じゃなくて?

「人なんて言ってないのに。勘違いさせちゃったかな。ごめんね?」

 ごめんって言いながら舌を出して笑ってやがる。

 絶対わざとだ。

「あーっ、氷河!」

 成澤がわたしの後ろに向かって手を振る。

「今度は騙されませんからね」
「お前さ。いい子できたなら、俺に一番に紹介しろよ」
「なんのことですか」

 …………!?

「照れちゃって」

 今、アイツの声が。

 後ろから聞こえたような。

「いませんけど」

 勘違いなんかじゃない。

「氷河、知ってる?」

 おい。なにを言う気だ。

「エリナちゃん。リア充に見えて。処――」
「あぁああ!!」
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