氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「これでどうだ」

 作文が仕上がった頃には、すっかり外は暗くなっていた。

 アイツ――まだ寝てるし。

 手伝うとか言って熟睡してやがるな。

 昨日もどうせ遅くまで練習してたんでしょ。

 ……だったら起こすの悪いじゃん。

 鞄に電子辞書と筆箱をしまう。

「帰ろうか。わたし」

 そうつぶやいた、そのとき。

「ただいまーっ! 兄ちゃん帰ってん……の」

 リビングに入ってきたのは、

「……どちら様?」

 小柄な当麻氷河だった。 
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