氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
#05 素直
#05 素直


「うちのおばあちゃん。日本から出たことないけど、幸せそうに生きてるよ。なんならアイアム・ア・ペンって言うし」
「どうして英語が必修科目なの。選択でいいじゃん。日本なんだから日本語話せって言いたいわけだ?」
「さすが沙里。わかってる」

 五分後に英語の単語テストを控えた休み時間なんて最低だ。

 猛勉強して進学校に奇跡的に入学できたのはよかった。

 合格発表のとき、自分の番号を見つけてわたしがどれだけ嬉しかったか。

 だけどこんなに大変なら、ランクをもう少し下げればよかったなと早速後悔し始めている。

「エリナ、勉強できないもんねー」
「沙里ほどの才女に言われたら素直に落ちこむ」

 新しく覚えなきゃならないことの量が尋常じゃない。

「いいじゃん。そんなに可愛いんだから、バカでも」

 バカ……ではないと思う。

 この学校では最初のテストから留年に対する危機感を抱く結果を残してしまったが、中学までは勉強に躓いたことなかったし。

「女の子がどんなに手にいれようと思っても限界があるものを、エリナは生まれ持ってるんだよー? 勉強は努力でどうにかなっても。そればかりは、どうしようもない」

 なにいってるの、沙里。

 【かわいい】は作れるよ。

 むしろーー作るものでしょ?
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