氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 尽くしたい。

「いいって」
「してもらってばかりだった。わたしだけ……悪い」

 一方的なのは、イヤだよ。

「普段聞けないような声。聞けたしな」
「……っ」

 知らない感覚の連続で、どうにかなっちゃいそうだった。

 恥ずかしい声がおさえられないくらいには。

 すごく、気持ちよかった。

 だからこそお返しがしたいわけで。

「依里奈」

 氷河くんに布団をめくられ、

「んっ」

 頭から服を被せられる。

「父さんと母さんに。お前のこと紹介したい」
「え、ご挨拶……?」
「ちょっと来てくれるか」

 今から? こんなタイミングで!?
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