氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 えらく冷静だよね。

 本当に緊張してる?

「わたしがつけてあげよーか」
「いや」
「ズルい。わたしのことは触っておいて!……んっ」

 キスで口を塞がれた。

「声がでかい」
「……ごめん」

 弟くんたち、さすがにもう寝たかな。

「間違えると取り返しつかねーから」
「え?」
「責任もって俺がやる」

 そういえば表裏逆にしたり、空気抜かなかったり、爪たてたりして破れたらマズいってテストに出た覚えがある。

 ここは任せた方がいい、かな。

「次はお前がつけて」

 つぎっ……!?

「2回もするの? っていうか。1回ってどこまで? いつカウンターまわるの」

 わたしの質問に、

「アホか。……また今度って意味だ」
「え」

 呆れたアイツが

「別に俺は2回してもいいけど」

 笑って小さくつぶやいたのを、わたしは見逃しはしなかった。
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