氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 通路を挟んで隣の成澤が声をかけてくる。

「ナリが……?」
「どうすればフォロワー増えるかなって悩んでたみたいだったから」

 たしかにいつかそんな話をした覚えがあるけど。

「バスの中。退屈だったし」

 暇潰しにすごいことしてくれたな。

「どっと増やしておいたよ~」

 増えすぎだ。

 わたしは3人しかフォローしていないのにバランスおかしくないか。

「SNS慣れしていない君に、注意事項だけ伝えておこう」
「注意事項?」
「自宅や周辺のわかる写真は載せるとすぐに特定されるよ。ほんの少しでも映ってたらアウトと思っておいて。被写体の目に映ってる情報だけで特定された例もあるらしいからねー」

 こえーな。

「エリナちゃん、いつストーカーつくかわかんないしさ。気をつけて。知らない人間からのDMは受けないようにして。位置情報はむやみやたらにオンにせずオフにしておくのが無難かな」
「ま、待って。とりあえず設定頼んでいい?」
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