氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 到着した成澤の別荘は、部屋の窓から海を眺められる最高の立地に建てられていた。

「荷物置いてきた人からアップして走りまーす」
「早速っすか!?」

 ただ、密なハードスケジュールをこなさなきゃいけないので楽園というわけでもない。

 これから四日間、毎日氷上での練習を確保できるのはありがたいことだ。

 他校との練習試合まで組んであるらしいし。

「あたしは天ちゃんと飲み物準備してくるから。エリちゃんは――五十嵐さんの部屋いってきて」
「え?」
「ほら。マネージャーの中で一番あのひとと仲良いのエリナちゃんだし。ざっとスケジュールの確認とかお願い」
「少し話したことあるくらい……ですよ?」
「天ちゃんは人見知り激しいし。あたしいないとナリがナンパに繰り出しかねないし」

 おうおう。

「だから、あの人のおもてなしは頼んだ!」

 五十嵐さんは氷上練習始まるまでフリーなのかな。

 強化練習の全部に参加するわけじゃないんだ。
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