氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「失礼しま――……す」

 五十嵐さんの部屋の扉をあけたら、

「っ、ごめんなさい!」

 五十嵐さんが着替えの最中だった。

「別に。見られて減るもんでもねーし」

 マネージャーになってから男子の着替えを目にする機会は増えたが、まだ慣れてはいない。

 しかし。

「……すごい筋肉」

 腹筋が割れてる。

 シックスパックというやつだ。

 胸筋も……しっかりある。

 アイツのカラダも細い割にすごいけど、もっと厚みがあるというか。

「今日からよろしくお願いします!」
「こちらこそ」

 って、

「トレーニング出る気ですか?」
「近くにジムがあるって聞いたから」

 なるほど。

 ウエイトトレーニングしてくるつもりですね。

「あ、これ。昼食の時間とか色々書いてあるスケジュールのプリントで」

 トレーニングウェアを着た五十嵐さんに近づき、手渡す。

「みんな共有ファイルで確認してたやつなんですけど。お渡しできてなかったので」
「サンキュ」
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