氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「イガラシさん。戻ってませんね」

 藍さんに話しかけたのに、

「五十嵐くんは基本的に群れないからねえ」

 成澤が返事した。

「あー、でも。エリナちゃんの手料理が味わえるって知ったら戻ってくるかも」
 
 そんなキャラじゃないだろ、あの人は。

「それいいね。夕飯は誘っておいてよ。五十嵐さんのために愛情込めますからって」

 藍さんまで……!!

「そこまで言ったら――」

 成澤がアイツに視線を向けると、

「ご馳走様」

 誰よりもはやく食べ終わった食事をさげ、アイツは部屋に戻って行った。

「ほーら。氷河拗ねちゃったじゃん」
「ただ練習したいだけでしょ」
「わかってないなあ。氷河の嫉妬はすごいんだよ? ね、エリナちゃーん」

 わたしにふるな。
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