氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「えっ」

 と真柴くんのスプーンを持つ手が止まる。

 どうしたの?

「もしかして、当麻くんと纐纈さん……って。付き合ってるんすか」

「付き合ってるよー」

 と答えたのは、成澤だった。

「今更だな」

 爽やか部長、イチさんがクスッと笑う。

「え、部長は気づいてたんすか!?」
「たいてい一緒に来て。一緒に帰ってくだろ。なんかあると思うわな」

 わかっちゃいますよね、やっぱり。

「え? それは、同じクラスで同じ部活だったら……普通っすよね」
「君、そのあたりの思考が小学生男児に相応するよねー。それも低学年で止まってる感じ」

 おい、成澤。

「俺がエリナちゃんに膝枕してもらったときの氷河。背中から殺気でてたもんなあ」
「ひ、ひざま……!?」

 真柴くんが更にうろたえる。

「ちょっとナリ。どういうことそれ」
「あったかかったなあ。エリナちゃんの……できれば生脚がよかったけど――布越しに伝わってきた体温(ぬくもり)。そういえば清楚なスカートだったけど。氷河の好みかな」
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