氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 言ったそばから顔が熱くなっていくのがわかる。

 いつもよりずっと鼓動がはやい。

 こんな風になるのも、そうさせられる相手がよりによって当麻氷河ってことも納得いかない。

 それでも、これは紛れもない事実なんだ。

「っていうか。けっこう。……楽しいよ」

 楽しいよ、すごく。

「英単語ひとつ覚えるより。あんたの好物が白桃ゼリーってこと知る方が。有益っていうか」

 どうしてそう感じるかなんて、わかんないけど。

「覚えちゃうよね。不思議と」

 なんでだろうね。

「っていうか。英語教えてよ、わたしに。古文教えてあげたでしょ」
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