氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――そうだな、恐れてる

「イガラシさーん」

 あの彼に怖いものがあるなんて。

「起きて、ますか……?」

 ――ガチャッ

「……あいてる」

 部屋の鍵、かけてない。

「入りますよ?」

 そっと扉をあけると、ベッドに横たわるイガラシさんが見えた。

「熟睡……中?」

 そっと、足音をたてないようにしてイガラシさんに近づく。

 顔を覗きこんだら、目を閉じていた。

 うむ。美形。

 じゃなくて、寝てるな。

「またあとで。起こしにきますからねー……」

 小さくつぶやいた、そのとき。

「そういうとこ」

 ……え?

「嫉妬対象になんだろうな」

 パチリとイガラシさんが瞼を開く。
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