氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「ああっ……! 惜しい!」

 藍さんが、思わず声をあげる。

 今のシュート。

 ひょっとしたら入るかと思った。

 打ちそうで打たなくて。

 打たなさそうで、打った。

 そんな駆け引きに呑まれず冷静に判断し、食い止めたイガラシさんの――……

「笑ってる」

 口許が、緩んだ。

 成澤がイガラシさんに近づき、なにか話してる。

 すごく楽しそう。

「ちなみに剛さん」
「なんや。しょうもないこと言ったら殴んで」

 ゴウさん、こわっ。

「な、なんでもないっす」
「冗談や。言ってみ」

 わたしならなにも言えない。

「え……いや。実は」

 でも、言わなくても殴られそう。

 ノリがわからない。

 とりあえず関西人は話にオチを求めるって聞いたことがある。

 ホントかウソか知らないけれど。

「めちゃくちゃ可愛い女の子が。いてます」
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