氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「羨ましい。氷河が」
「え?」
「君からのエールを一番もらえるんだもん」
「……そんなことないよ。試合や練習では。チームのみんなのこと応援してるから」

 だから、受け止めて欲しいよ。

「ありがと」

 茶化さない成澤は、別人みたいで。

「エリナちゃんが応援してくれると。百人力だ」

 素直にカッコよくて。

 ちょっと――いいや、すごくドキドキさせられる。

 あなたは素敵な選手です、成澤先輩。

「じゃ、俺は風呂行ってくるか」
「あ」

 部屋から出ていこうとする成澤のシャツを掴む。

「なーに。今夜、一緒に寝たいって?」

 いつもの成澤に戻ってしまった。

 スマートモードは続かないらしい。

「そうじゃなくて。当麻氷河のもちょうだい」

 洗い物。

 アイツいつ戻ってくるんだ?

 まさか寝ずに走ってたりするんじゃ……。

 さすがに仮眠とるよな?

「自分でやりなよー」
「え?」
「なに俺に頼んでんの。荷物あさってパンツでも出てきたら恥ずかしい?」
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