氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「エリナちゃん」
「ん?」
「好きだよ」
「え……」
「好きだ」

 もしも

「届かないのは、けっこう。ううん。かなり辛いけど。好きでいることを赦してもらえる?」

 もしも、

「許可なんてとらないでよ。人を好きになるのは……自由でしょ」

 わたしが恋をした相手が

 アイツでなく別の誰かだったら――……

 なんて

 なに、考えてるんだか。

「ありがとね」

 運命とかわからない。

 未来なんて見えない。

 それでも、わたしはアイツを選び続けるんだと思う。

「ここで氷河くるの待ってたいなら。いていーよ」
「ううん。まだ洗濯物集め終わってないし」

 自由時間だとしても部活動として合宿に来ているんだから当麻氷河に必要以上に接触するのはよくないって思う。

「なんなら。俺、五十嵐くんとこ泊まるから。ここに泊まれば」
「……は?」
「そうしなよ。この合宿で氷河と愛を一層深め合うといい」

 なに言ってんの。

「あいつ体力バカだから、君に体力奪われたくらいで平気っていうか。丁度いいし。いっそ搾り取ってくれたら俺の方が活躍できるかも。ははっ」

 合宿中に、なにさせようとしてんの。

「……そうやって、くっつけたがるよね。成澤は」

 アイツとわたしのこと。
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