氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 なにこの質問。

 突拍子もない事態に慌てていると、彼女がニッコリ微笑んだ。

「ナリの連れてる女って基本的にそういう相手だと思ってるから」

 そういう相手……。

「近づき難いというか。関わるの躊躇っちゃうんだよね」

 わたしを成澤の取り巻きに入れないでくれますかね。

「で。セフレなの?」
「断じて違います!!」
「そうなる予定は」
「120%ありません」
「そっか。なら失礼なこと言ってごめんね?」
「……いえ」

 なんなんだ。

「あたしは二年の藍川(あいかわ)。藍色のアイと三本のカワで藍川」

 脳内でアイカワを藍川へと変換する。

「あなたは?」
「纐纈です」
「くくり? 珍しいね」
「よく言われます」
「下は、エリナちゃんだったよね。そうだな。エリちゃんって呼んでいい?」
「はい」
「あたしのことは、藍でいいよ」

 藍、さん。

「あの。藍さん」
「ん?」
「実は、合コンって初参戦なので。いまいちノリがわかってなくて。もし、空気壊しちゃったらすみません」
「なに言ってんの」

 豆鉄砲を食らったように、きょとんとされる。

 そんな表情も美人だ。

「合コンじゃないよ」

 え?

「この集まりはーー……」
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