氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 
「成澤センパイ!」

 席に戻ると、成澤は、近くの席の――女子大生風のお姉さんと連絡先を交換していた。

「嘘ついたんですね」

 成澤がお姉さんたちに手を振ってこっちを向く。

「みんなの前ではサイコパス成澤って呼ばないんだ?」
「なにが合コンだ」

 ここにいるのは、同じ部の部員らしい。

 男子は選手で女子はマネージャー。

 だから圧倒的に男子の比率が高いのだ。

「ははは。普通は気づくよね。見た瞬間、これが合コンじゃないことくらい」
「よくも……!」
「まあまあ。ここに飢えた男と女が揃ってるあたり、大差ないよ」

 そう言って笑ったのは、がっしりした体格の短髪男子だった。

 強面だけど笑っている。爽やかだ。

 この人ほんとに高校生……?

 一人だけ私服で。

 コーチとか監督っぽいオーラを感じなくもない。

「ナリなんかに合わせなくていいですよ。力也(りきや)さん」

 リキヤさん、というのか。

 名前までいかつい。
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