氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 そんな言い方をする時点で優しくはないです。

「まあ。おかげで君とこんな時間に堂々と2人で過ごせていることを考慮すれば。プラスマイナスゼロ以上ではありますね?」
「そのキャラいつまで続けるんですか」
「はて。なんのことでしょう」
「とりあえず口説く、みたいなの。しなくていいですから」
「最近の洗濯機は。音が静かですね」

 いきなりハナシ飛んだな。

「お酒。わざわざ持ってきたんですか?」

 今飲んでたってことは3時からの練習は行かないんだな。

「リンクは冷えますから。あたためておこうと思いまして」

 行くの!?

「そのままリンクサイドで眠って凍死とかやめてくださいね」
「じゃあ私が死なないように見守っていてくれます?」
「キャプテンから、マネージャーは来なくていいって言われました」

 耳元に、フジオの口が近づいてくる。

「きっと。来なきゃ後悔しますよ」

 ――……え? 
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