氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 第一、お小遣いから交通費と滑走料とレンタルスケート代を出してまで遊べる学生だって限られているな。

 というか

『タピろ』

 となっても、

『そうだ。スケートに行こ』

 という流れを見たことがない。

 非日常すぎる。

 今となってはそんな放課後があっても楽しそう――なんて思えるのはアイスホッケーと出会ったから。

 そうじゃなきゃ寒いし経験ないし、とにかく敷居が高い。

 なにより制服のまま行けないしね。

 リンクで必須となる手袋をスケート場で買うことはできるが、夏場はそれなりに準備が必要だ。

「冬場になると駅の近くやテーマパークなど人の集まる場所に、期間限定で野外リンクが出ることもあります。そんなときは利用者も普段よりは増えるでしょう」

 シーズンじゃないときは、ただでさえ少ない機会がグッと減る。

「一年通してスケートのできる場所――通年リンクは。少ないです」

 学校帰りに遊べる場所といえば、やっぱりゲームセンターやカラオケ。

 あとはカフェが無難で。

 同じ屋内レジャーなら、ボウリングの方がずっと経験者は多いだろう。
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