氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 アイツなら、うまくできるんだろうな。

 そういうことが。

 じゃなきゃ続けられないよ。

 子供の頃はご両親が支えてくれていたのだろう。

 亡くなられてからは自分たちでやってきたんだ。

「……あれ」
「どうかしましたか」

 どうか、しました。

「防具が」

 さっきの氷上練習とは違うんですけど。

 いや。

 そんなわけないな。

 目をこすり、もう一度、イガラシさんを見る。

「変わってるんですけど!?」

 これは幻覚ではない。

 じゃあ夢?

 いや、この寒さは夢ではない。

「年季入ってましたからね」
「だからって……え?」
「新調したみたいです」
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