氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「じゃあ決まりだ」

 なにが決まりなんだ?

「そっか。ナリ、この子を連れてきた理由」
「そういうこと」

 どういうこと?

 困惑していると、

「これからクロスアイスやるの」

 藍さんが教えてくれた。

「……クロスアイス、ですか?」
「うん。20人くらい来るよね、ナリ」
「その予定」

 そんなに人が集まるの?

「ナリがスケートリンク貸しきってくれたから。そこで試合するの」
「試合って言っても突発的な。少人数でチーム分けして全面使わないやつ。まあ。ルールとか説明するより、見ればわかるよ」

 なるほど。みれば……わかる……。

 って、待ってくれ。

「行くんですか、わたしも」
「そのつもりでしょ?」

 問いかける藍さんに、

「うん」

 二つ返事で答える成澤。

「わたし、できませんよ。スケートとか。人生で、一度も経験ありませんから!!」

 それでなくとも運動神経サイアクだし。

「もちろん見学でいいよー? 防具もつけずに中に入って大怪我されても困るし」
「大怪我……!?」
「氷上の格闘技って言われてるからね。アイスホッケーは」
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