氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「一人だけいないと誰だって気づく」

 朝食のときのことを言っているのだろう。

「それは。寝坊しちゃって……」

 なんだろう。

 頭が、くらくらしてきた。

「って。ダメです。近くにいたら」

 万が一これが風邪の前兆で

 あなたにうつしたらおしまいだ。

「ちょっと休んだら復活する予定なので。ありがとうございます。おやすみなさい!」

 後ろを振り返ろうとして、
 
「おい」

 ――目の前が、真っ白になった

「依里奈」

 イガラシさんが、わたしを呼んでいるのは、わかる。

 でも。

「……っ」

 地面に吸い込まれそうになって

 立っていられなくて

 倒れ込んでしまいそうになったところを

「しっかりしろ」

 イガラシさんが、支えてくれた。 
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