氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 指だけじゃない。

 他にも、なにかが――

「喉つめんなよ」

 小さくて四角い、

「……しょっぱい」

 塩キャラメル。

「少し熱があるんじゃないか」

 おでこに大きな手をあてられる。

「咳はしてないようだが。喉の痛みは」
「ない、けど」
「単に夏バテというよりは。極端な暑さと寒さの中での練習に身体がついていけなくなったのかもしれない。おまけに睡眠不足」

 ……?

「よく寝てよく食って。マメに水分とっとけ」
「……うん」
「藍川さんは、もうそういうのに慣れてる。天津さんもな。真柴も、ああ見えて丈夫な身体してる。だけどお前は違う」
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