氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

 残ってるって。

 そんなの……。

「くれよ」
「え……」

 突如、

 唇に柔らかいものがあたったと思ったら――

「なっ……ウソ」

 あっという間に奪われてしまった。

 わたしの口の中から。

「噛まずに舐める派か」
「噛んだら……歯に、くっつくでしょ」
「まあまあだな」

 ――口移し

「我慢するって言ったのに」

 キスと変わらない。

 ううん、キスよりずっと……。

「キャラメルもらっただけ」
「……バカ」
「取り返したい?」
「っ、」
「まあ、お前には無理だな。チビだから」
「氷河くんのイジワル……!」

 少し口元を緩めて笑った氷河くんが、

「依里奈の味がする」

 そんなことを言うもののだから

 わたしの体温が、どんどん熱くなっていったのは言うまでもない。
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