氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――ニンシン?

「脅してるわけじゃないですよ。君の認識がどの程度のものか、確認しておこうと思いまして」

 大好きな人と一つになるということは、新しい命が芽生えるかもしれないということ。

「うっかり失敗した――では、済まない」
「……はい」
「それをよく考えてやることです」

 ……え?

「止め、ないの?」
「止めませんよ」
「反対されるのかと」
「イマドキ小中学生向けの少女漫画でも、キス以上のことしていますし。そういった行為への興味を煽るもので溢れています。なのに隠そうとするのは限界もあれば不自然でもあり、スマホを持たせてしまえばいくらでも触れられる。関心を抱くことそのものは成長する過程で当たり前のことです」

 他人に興味を抱くのも、好きな人と触れ合いたいと思うのも、間違ったことではない。

「蓋をしてしまうより――誤魔化さずに教えてやる方がずっといい。止めないというよりは――まずなにより正しい知識をつけ。制限するのではなく責任感や理性を持たせることが重要ではないでしょうか」

 そして、軽く考えてはいけないこと。

「それに。逆効果ですから」
「逆効果?」
「やめろなんて言われたら。やりたくなるのが人間です」
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