氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 それも、先にリングがついている。

 アクセサリーを身につけてるとは思わなかった。

 見えないオシャレしてたわけだ。

 ひょっとして……

「カノジョとお揃いですか」

 そういう相手いるんじゃないですか。

「……秘密主義ですよね」

 なにも答えないまま、あっという間にスウェット姿になるフジオ。

 いつもスーツだから違和感しかない。

「君のように。なんでも素直に話す人間の方が珍しいです」
「そうでしょうか」

 なんでも話す訳じゃない。

 むしろ素直になれないことも多い。

 けれど、なぜか、フジオ相手だと話しやすいというか。

 アイツとのことも、それから、昔のことも言えてしまったんだよなあ。

「ほんとに寝るの……?」

 もう昼ですよ。

 みんなの練習見に行かないですか。

「実はまだ一睡もしていないので」
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