氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 他の部員を見ると、

「至福だな」
「目の前に海があるのに入れなかったから」

 なんだかんだ楽しそうだ。

 海には誰も入っていない。

 特に禁止にしているわけじゃないが、なにぶんトレーニング三昧で。

 練習のないときは食事か睡眠にまわしていたし、遊ぶにきたわけじゃないから、みんな自粛していたのだ。

「マメシバくんて。かわいい顔してるのに、筋肉すごいね?」
「あ、あの。触るのは……」
「えー。少しくらいよくない?」
「というか自分、マメシバじゃなくて。真柴――ちょっ。どこ触ってんすか!」
「やーん。反応が、かわいい」

 お姉さん連中に真柴くんが狙われている。

「社会勉強になるね、マメシバくんも」

 呑気なこと言ってないで助けて来い。

 天ちゃんから殺気が出ている。

「まだ動けるのは素直に凄いと思う」

 ハーレムは置いておいて。
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