氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ◇


 合宿最終日の、朝。

 早朝練習でスケートリンクにやってきた。

「初日より……息ぴったり」

 パスのタイミング、よくなってる。

 選手から選手に繋いで、難しい角度から狙った場所へのシュートもそれぞれに命中させている。

「みんな成長したけど。マメシバくんは特に著しいよね。これも天ちゃんの指導のおかげかな?」
「あくまで私はアドバイスしただけで。センスとやる気があってのことです」

 真柴くんには人数の関係でゴールテンダー以外のポジションもしてもらっている。

 すっかりスケーティングを中級ランク程度身につけてしまった彼はハンドリングやパス、シュートの練習にも参加していた。

「今のマメシバくんは、特にどのポジションで目立つ!……ってのはないけど。足を引っ張るほど使えなくもないんだよね」

 そう評価されるのは、紛れもなく彼が努力した結果だ。

 まだまだ伸び代の感じられる真柴くんに、みんな期待している。

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