氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
「それじゃあ各自、昼飯まで休憩とるように」

 キャプテンの言葉で解散する。

 そのとき、

「特にストイック三人衆。これ以上の自主トレは試合に響くと困るのでしっかり部屋で休むように」

 イガラシさんと真柴くん、それから当麻氷河が藍さんから釘をさされていた。

「せめて。ジャグリングだけでも……」

 落ち着かない様子の真柴くん。

 それもそうだ。

 なにせ初めての試合が控えているのだから。

 ベンチに入ることができるゴールテンダーは、2人までと決められている。

 今回はイガラシさんが出ることが決まっていて、控えに選ばれたのは坂本さんだ。

 こんなとき、通常なら真柴くんがベンチに入ることはないだろう。

 リンクサイド――或いは観客席からの応援にまわる。

 けれど、人数が少ないうちは、真柴くんも使っていくプランを立てた。

 つまり、真柴くんは、格上相手に新しいチームメイトとリンクを駆け回ることになる。

 彼に与えられたポジションは

 DF(ディフェンス)――守りだ。

 自分よりずっと大きな選手からパックを奪われないよう保持したり正確なパスを出したり、相当なプレッシャーなのは間違いない。
< 560 / 617 >

この作品をシェア

pagetop