氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

　選手はユニフォームに着替えスケート靴を履いている。

　いよいよ始まるんだ。

「あの。トイレ行ってきます」

　わたしが出場するわけでもないのに、ドキドキしすぎてヤバイ。

　真柴くん大丈夫かな。

　ブルーベリーは飲んだろうか。

「アーッ！」

　誰かが後ろで大きな声を出す。

　なんだなんだ。

「あの子」
「剛さん、そこにいてますよ」

　聞き覚えのある関西なまり。

　それに、ゴウさん――って。

「ほらほら」

　相手チームの選手がアップから戻ってきた。

　会場の入り口は一つなので観客も選手も皆が同じところから入ってくるわけなのだが、控え室もすぐ隣なのでこんなに簡単に相手チームと顔を合わせる。

　ちなみに一般客は控え室の手前にある階段を上った二階席から観戦する。