氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 ――フェイスオフ

 パックは相手チームに渡ってしまった。

 すごい速さで攻めてくる。

「追い付けませんね」

 となりでフジオが囁いた。

「開始5、6分の立ち上がりは、とても重要です。ここで先制点をとられてしまうと浮き足立つので」

 ――圧倒的スケール

「まったく成澤くんも。無茶な試合を組んだものです」

 天ちゃんは、観客席からタブレットで撮影を。

 藍さんもビデオカメラで別角度から撮影をしていて。

 わたしは、アシストやゴール、シュート数、逆にシュートされた数と阻止した数を記録につけていく。

「勝負にならなかったでしょう。去年のメンバーなら」

 聞こえるのは、パックを弾く音。

 そのパックが第七の味方――壁に跳ね返る音。

 相手チームからシュートを放たれ、パックがゴールに急速に近づく。

「あっ……!」

 心臓が、ドクンと大きく鼓動した。

「点、入っちゃうかと。思いました」

 ヒヤヒヤした。

 すごく。

 相手チームのゴーリーに止められたパックを仲間が運ぶ。

 奪い返さなきゃ。

「出てきましたね」

 ――当麻氷河
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