氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 試合開始直後からパックを支配していたのは、相手チームだった。

 その流れを変えるのは簡単なことじゃない。

 だけど期待してしまう。

 アイツに。

「うまい」
「えっ……今。横にシュートしました?」
「真横でしたね」
「てっきりゴール裏に回り込むと思ったのに」

 相手の視線はたしかに進行方向をみていた。

 なのに枠ギリギリを狙ってシュートが放たれた。

 それにイガラシさんが反応できたのも凄かった。

 メンバーが入れ替わり

 こちらにシュートのチャンスがないまま何度もシュートを打たれる。

 けれど、

「さすが五十嵐くん」

 反応のスピードだけじゃない。

 体勢の立て直しも素早い。
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