氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。
 真柴くんは、初めての合宿で体験したこともないようなハードスケジュールをこなした。

 体力的にも限界が近かったろう。

 本当に、よく耐えた。

 頑張った。

 その悔しさをバネに成長してくれることを期待したい。

「みてみてー」
「ちょっ……危ないっす!」

 成澤が花火をこっちに投げてくる。

 真柴くんが跳び跳ねた。

「ネズミ花火」
「増やすのナシっす……!」
「あはは。追いかけられてる」

 小学生か。

「すごーくカラダがだるいんだよねー。倦怠感っていうの? 戻ったらマッサージしてよ」

「いいですよ」と言ったのは、アイツだ。

「えー、氷河のマッサージは。なんか痛そうだし」

 むしろ当麻氷河はマッサージされる側の人間だろうが。

「エリナちゃーん」
「帰ってからプロにお願いしてください」
「やだよー。今夜ぐっすり眠りたいんだ。お願い。添い寝でもいいよ?」

 もはやマッサージ関係なくなってるが。

「俺がします」
「氷河はゴツゴツしてるからダメ」

 成澤と当麻氷河が同じベッドで眠ったら狭くてたまらないだろうな。
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